「実家に帰るたびに、物が増えている気がする」
「何度片付けようと言っても、母がまったく動いてくれない」
「必要のない物に見えるのに、絶対に捨てたくないと言われる」

親の暮らしが心配で声をかけているのに、片付けが一向に進まないと、だんだん疲れてしまいますよね。

最初は優しく話していたつもりでも、同じやり取りを何度も繰り返しているうちに、「どうしてわかってくれないの?」と、つい強い言葉をぶつけてしまうこともあるかもしれません。

しかし、実家の片付けは、物を減らすだけの作業ではありません。

親がこれまで大切にしてきた暮らしや思い出と向き合いながら、これからの生活を安全で過ごしやすいものに整えていく作業です。

今回は、「実家の片付けにうんざりしている」「母が片付けられない」と悩んでいる方に向けて、親を責めずに片付けを進めるための考え方や声かけのコツをご紹介します。

このコラムを書いた人
成島理紗(おへやアレンジメント代表)
  • 一人暮らし女性のお片付け専門家(訪問実績1,000回以上)
  • 整理収納アドバイザー1級・インテリアコーディネーター
  • 一人暮らし女性専門お片付けサービス「おへやアレンジメント」代表
  • TBS「櫻井・有吉 THE夜会」出演(お片付けの専門家として出演)
  • KADOKAWA出版「ひとり暮らしかんぺきBOOK」の監修
  • 天馬株式会社オフィシャルアンバサダー

なぜ親は片付けられない・物を捨てられないのか

親が片付けられない様子を見ていると、子ども側には「やる気がない」「面倒くさがっている」と映ってしまうことがあります。

しかし、親が物を手放せない背景には、世代ならではの価値観や、年齢による体力の変化など、さまざまな理由が隠れています。

「まだ使える物を捨てるのはもったいない」という価値観

今の親世代には、物が十分に手に入らない時代や、壊れた物を修理しながら長く使う生活を経験してきた方も少なくありません。

そのため、多少古くても、使っていなくても、

「まだ使えるから」
「いつか必要になるかもしれない」
「捨てるのはもったいない」

という気持ちが強く残っていることがあります。

子ども世代にとっては不要品に見えても、親にとっては「大切に使うこと」や「無駄にしないこと」の象徴なのです。

単に「使っていないから捨てよう」と伝えるだけでは、納得してもらえないことがあります。

物に思い出や家族の歴史が結びついている

実家にある物には、家族の記憶が詰まっています。

子どもが幼い頃に使っていた食器、家族旅行のお土産、昔の手紙や写真など、物を見ることで当時の出来事を思い出すこともあります。

子どもにとっては忘れていた物でも、親にとっては、人生の一部を残しておくための大切な物かもしれません。

物を手放すことが、思い出や家族とのつながりまで失うように感じられる場合もあります。

片付けるための体力が足りない

片付けには、意外と多くの体力を使います。

押し入れの奥から物を出す、床に置かれた荷物を持ち上げる、分別した物をゴミ置き場まで運ぶなど、一つひとつの作業が親にとって大きな負担になっている可能性があります。

腰や膝に痛みがあったり、疲れやすくなっていたりすると、「片付けなければ」と思っていても、なかなか行動に移せません。

片付ける気持ちがないのではなく、体がついていかないこともあるのです。

判断することに疲れてしまう

片付けでは、「必要」「不要」「移動する」「誰かに譲る」など、一つひとつの物について判断する必要があります。

年齢を重ねると、たくさんの情報を整理したり、短時間に何度も決断したりすることが負担になる場合があります。

特に物が大量にある状態では、どこから始めればよいのかわからず、考えるだけで疲れてしまうこともあります。

以前は片付けられていた親が、急に物の管理を難しく感じるようになった場合には、体調や心身の変化が影響していないか、日々の様子にも目を向けてみましょう。

親が片付けられない背景には、価値観や体力など、さまざまな理由があります。

実家の片付けでやってはいけないNG行動

実家の状態を見ると、「早く何とかしなければ」と焦ってしまうものです。

しかし、子ども側の正しさだけで進めてしまうと、親の気持ちが片付けから離れてしまうことがあります。

親に確認せず、勝手に捨てる

明らかに使っていない物や、ゴミに見える物であっても、親に確認せず捨てるのは避けましょう。

一度でも勝手に物を捨てられたと感じると、親は「また捨てられるかもしれない」と警戒するようになります。

その結果、以前より物を隠したり、片付けの話自体を拒否したりすることもあります。

実家は、あくまでも親の家です。

安全上すぐに対応が必要な物を除き、基本的には親の意思を確認しながら進めることが大切です。

「こんな物いらないでしょ」と強く責める

「どうしてこんなに溜めたの?」
「こんな物、絶対に使わないでしょ」
「私たちが後で困るんだから、今すぐ捨てて」

このような言葉は、子ども側の本音でもあります。

しかし、強く責められると、親は物の必要性を考える前に、自分自身を否定されたように感じてしまいます。

実際のお片付けの現場で、大量のリボンや紐が出てきたことがありました。
お母様ご本人は、本当は要らないことを理解していて
「何に使うのか分からないのに、なんだか捨てられなくて・・・」と仰っていました。

でも、お子様から、「要らないでしょ」とはっきり言われたことで、反射的に「要る!」と言ってしまい、結果捨てられなくなるということがありました。

親を説得しようとするほど、親も意地になり、「絶対に捨てない」と反発することがあります。

物の多さを責めるのではなく、「その物を見たときの今の気持ち」を聞くこと。
次に、「転ばないように通路を広くしたい」「使いたい物を取り出しやすくしたい」と、暮らしをよくする目的を伝えてみましょう。

一日で全部片付けようとする

せっかく実家に帰ったのだからと、短時間で一気に片付けようとするのも注意が必要です。

朝から何時間も物を選び続けると、親も子どもも疲れてしまいます。

疲労がたまると、判断が雑になったり、言葉が強くなったりして、親子げんかにつながりやすくなります。

実家の片付けは、長期間かけて増えた物と向き合う作業です。

一度で終わらせようとせず、「今日は玄関の靴だけ」「今回は引き出し一段だけ」と範囲を小さく区切りましょう。

早く片付けたいときほど、親の気持ちを置き去りにしないことが大切です。

親が前向きになる声かけと進め方のコツ

親に片付けてもらうためには、「捨てさせる」のではなく、「これからどのように暮らしたいか」を一緒に考えることが大切です。

心配している理由を具体的に伝える

「片付けてほしい」とだけ伝えると、親は自分の暮らし方を否定されたように感じるかもしれません。

そこで、片付けてほしい理由を具体的に伝えてみましょう。

例えば、

「床の荷物につまずかないか心配なんだ」

「地震が起きたときに、玄関まで安全に移動できるようにしたい」

「お母さんが毎日使う物を、もっと取り出しやすくしたい」

という伝え方です。

「捨ててほしい」ではなく、「これからも安全に暮らしてほしい」という気持ちを言葉にすることで、親にも受け入れてもらいやすくなります。

親に選んでもらう

「捨てる・捨てない」の二択だけでは、親が身構えてしまいます。

まずは、

「これはどこに置いたら使いやすい?」

「この中で、最近よく使っている物はどれ?」

「残したい物を先に選んでみようか」

と聞いてみましょう。

不要な物を探すより、大切にしたい物やよく使う物を選んでもらう方が、親も前向きに取り組みやすくなります。

迷った物は無理に結論を出さず、「保留箱」を用意して、一定期間置いておく方法もあります。

効果が見えやすい場所から始める

片付けの成果がわかりやすい場所から始めると、親のやる気につながります。

おすすめなのは、玄関や洗面所です。

通路が歩きやすくなったり、毎日使う場所の見た目が整うと、片付けることで暮らしが楽になることを実感できます。

家全体を見渡すのではなく、まずは親が毎日使う場所を少し整えることから始めましょう。

親の頑張りを認める

片付けが少し進んだら、「これだけしかできなかった」ではなく、できたことに目を向けます。

「玄関が歩きやすくなったね」

「必要な書類がすぐ見つかるようになったね」

「今日はここまで判断できてすごいね」

と伝えることで、親も達成感を得られます。

片付けは、物の量だけで評価するものではありません。

親が一つの物と向き合い、自分で決められたこと自体が大切な一歩です。

「捨てて」ではなく、「安全で使いやすくしたい」という目的を伝えてみましょう。

親子だけで難しいときは第三者に頼る選択肢もある

実家の片付けは、親子だからこそ難しくなることがあります。

子ども側には、「昔から片付けてくれなかった」「何度言っても聞いてくれない」という積み重なった不満があります。

一方、親側にも、「子どもに指図されたくない」「自分の暮らしを否定されたくない」という気持ちがあります。

家族同士では、物の話をしているつもりが、いつの間にか過去の出来事や親子関係の話になってしまうこともあります。

そのようなときは、整理収納のプロなど、第三者に入ってもらう方法があります。

第三者は、親の気持ちと子どもの心配の両方を聞きながら、中立的な立場で片付けを進めます。

「捨てましょう」と一方的に判断するのではなく、親が今後どのように暮らしたいのかを確認し、体力や生活動線に合わせて整理していきます。

家族から言われると反発してしまうことでも、第三者から穏やかに説明されると、素直に受け入れられるケースもあります。

また、子どもだけで重い物を運んだり、膨大な量を分別したりする負担も軽減できます。

第三者を頼ることは、親の片付けを誰かに丸投げすることではありません。

親子関係を悪化させず、これからも安心して暮らせる環境をつくるための選択肢の一つです。

まとめ|親を変えようとせず、これからの暮らしを一緒に考える

実家の親が片付けられない状態が続くと、子ども側がうんざりしてしまうのも無理はありません。

将来、自分がすべて片付けなければならないのではないかという不安や、親の安全を心配する気持ちがあるからこそ、強い言葉が出てしまうこともあります。

しかし、親が物を捨てられない背景には、世代の価値観や思い出、体力の低下、判断することへの負担など、さまざまな理由があります。

勝手に捨てたり、責めたり、一気に終わらせようとしたりせず、まずは親の気持ちを聞くことから始めてみましょう。

そして、親子だけで進めることが難しいと感じたら、すべてを家族で抱え込む必要はありません。

「親を説得するため」ではなく、「親子が穏やかにこれからの暮らしを考えるため」に、第三者の力を借りることもできます。

おへやアレンジメントでは、親御様の気持ちを大切にしながら、ご家族の心配にも寄り添い、実家の片付けをお手伝いしています。

どこから手をつけたらよいかわからない方や、親子で話すとけんかになってしまう方も、まずは現在のお困りごとをお聞かせください。

実家の状態や親御様のご希望に合わせて、無理のない進め方をご提案いたします。

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