「家にいてもなんだか気が休まらない」「部屋にいるのに疲れる」。

そんな風に感じたことはありませんか?

本当は、自分の部屋をいちばんリラックスできる場所にしたかったはずなのに、居心地が悪い。その理由は、「散らかっているから」だけではないのです。

今回は、部屋の乱れが心に与える影響と、私自身が実践した「片付けの根本にある、大切なこと」についてお話します。

このコラムを書いた人
成島理紗
  • 一人暮らし女子のお片付け専門家
  • 整理収納アドバイザー1級・インテリアコーディネーター
  • 一人暮らし女性専門お片付けサービス「おへやアレンジメント」代表
  • KADOKAWA出版「ひとり暮らしかんぺきBOOK」の監修
  • 天馬株式会社オフィシャルアンバサダー
  • 一人暮らし女性宅の訪問件数は500件超
  • 趣味は収納グッズの情報収集と旅行

散らかった部屋が落ち着かない2つの理由

部屋にいるのに落ち着かない。その原因は、大きく分けて2つあります。

視覚的ストレス:モノが多いと脳が疲れる

目に入る情報が多ければ多いほど、私たちの脳は無意識に処理を行い、疲れを感じてしまいます。
物が多く雑然とした空間にいると、心の休まる時間が奪われてしまうのです。

まずは、不要な物を手放し、視覚から入る情報量を減らすこと。これだけでも、心が軽くなることがあります。

心理的ストレス:モノが記憶を呼び起こす

厄介なのが、心理的要素。モノに紐づく「記憶」の問題です。
例えば、使っていない趣味グッズや、読みかけの本、開封していない段ボール…。それらを見るたびに、「やらなきゃ」という気持ちが頭の片隅によぎります。

この“見えないプレッシャー”が積み重なって、無意識のうちにストレスとなっていくのです。

「やらなきゃ」に追い詰められる毎日から抜け出すには

「片付けなきゃ」と思いながらも、なかなか手をつけられない。
気づけばスマホを見て時間が過ぎ、さらに自己嫌悪に陥る…。そんなループに心当たりはありませんか?

実は、この状態を引き起こしているのが、「やらなきゃ」と思いながら放置しているモノたち。
レシート、畳まれていない洗濯物、未開封の荷物など、一つひとつが“できない自分”を突きつけてくるのです。

「いつか使うかも」「とりあえず保留」──そうやって残してきたモノやタスクが、知らぬ間に心の余白を埋め尽くしている場合があります。
「やらなきゃ」に縛られる毎日を卒業するには、“やめること”を自分で決める勇気が必要です。

自分をラクにする「やめることリスト」

私が本当に心地よい暮らしを手に入れたきっかけは、片付けよりも「やめること」を決めたことでした。

以下が、私が実際にやめたことの一部です。

  • 家計簿(見返したことが無かった)
  • フリマアプリ(手間がストレスに)
  • 洗濯物を畳むこと(しわにならなければOK)
  • おしゃれ着の自宅洗濯(クリーニングに任せる)
  • ネットショッピング(届いた荷物を開けるのが面倒)
  • 昔の趣味を追いかける

です。思い切ってやめてみると、「ちゃんとやらなきゃ」と思っていた重荷がスッと消えて、自分の心に余白が生まれるような感覚がありました。

自分の部屋の居心地が悪くなるのは、物が多いだけではありません。
居心地を悪くしているのは、自分がやらなきゃと頭で分かっているのに、自分との約束を果たせないものだったりします。
家の中に、「やらなきゃ」「やらなきゃ」「やらなきゃ」ばかりが溜まると、気持ちが削れて疲れてしまいます。

自分の中で「やめる基準」を作るポイントは、「それをすることで、自分の人生良くなってる?」と問いかけてみること。

そうすると、

  • フリマアプリで得た収益よりも、出品の手間を自分の好きな時間にあてられた方が豊かなんじゃないかな
  • 今まで家計簿をつけていたけど、見返したことあったっけ?
  • 昔の趣味、グッズ一式を揃えるのにお金を掛けたけど、全然見てないな・・・
  • ハンドメイドの材料。時間が出来たら作ると決めていたけど、そう思って何年経ったっけ

などなど、意外と無くても豊かに生きてるんじゃない??と、今の自分にとって本当に大切だったのかを知るきっかけになります。

私の場合は、やろうと思っておきながら、やっていなかったことの大半が、自分の人生でそんなに重要でもないのに、ただ重荷になっていることに気が付きました。
重荷になっているものに囲まれて、自分の人生と収納スペースを奪われるのは勿体ない。
またやりたくなったら手に入れたら良いと思うんです。

やらないことを決めて、自分の人生から切り離す。
要らないと決めた物は、3秒で判断し、手放す。そうするだけで、人生がめちゃくちゃ軽くなります。

モノが引き起こす「記憶の渋滞」に注意

たとえば、推しの写真を見た瞬間、ワクワクした気持ちやライブの思い出が一気に蘇った経験、ありませんか?

このように、モノには記憶を呼び起こす力があります。
良い記憶だけなら問題ありませんが、未処理のモノや過去の失敗に関わるモノは、見るたびに無意識のうちにストレスを引き起こします。

目に見える物が多いと、物から記憶が引き出されて頭の中が大渋滞になります。
そうなると、お部屋のどこを見ても気が休まらなくなります。

私が会社員だったころ、残業の多い人の共通点は「資料の多さ」でした。
必要な情報を見つけられず、注意が散漫になってミスが増える…部屋でも同じことが起きているのだと思います。

家の中に物が溢れているということは、このように、自覚していなくても目に入る物が多くて、思考が支配されているのだと思います。モノが無さ過ぎる殺風景な部屋も個人的には好きではありませんが、物がありすぎることの弊害は大きいです。

「出していいもの」「しまうべきもの」を分ける

私が実践しているのは、「自分の気持ちが上がるモノだけを出しておく」というルールです。

逆に、気持ちが休まらない物は全てしまうようにしました。
例えば、仕事用のカバンはリビングに持ち込まずに廊下収納にバッグ置き場を作りました。

自分が好きなアロマと読みかけの本は基本的にリビングの表に出しっぱなしです。
出しっぱなしにしていても、ワクワクするものだと疲弊しなくなります。

ただし、なんでもワクワクするからという理由で出しっぱなしにすると、お部屋がごちゃごちゃになり、結果として落ち着かなくなります。
そのため、推しグッズを飾りたいなら、飾る場所を1か所だけにしたり、出しっぱなしにしてよい本は3冊までなど、定量を設定することが大切です。

まとめ

「気が休まらない部屋」の原因は、物の多さだけではありません。
視覚からの刺激、そして“やらなきゃ”に縛られた記憶の積み重ねが、心の疲れを引き起こしています。

まずは、やらなくていいこと・持たなくていいモノを見直すことから。
心の中に溜まったプレッシャーを取り除けば、自分の部屋が“本当に好きな場所”へと変わっていきます。

おへやアレンジメントのサービス

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